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時間が早すぎたせいか、警察署にはひと気がなかった。


それでも誰もいないということはないだろうと思って敷地内へ入ってみると、制服姿の警察官が丁度いいタイミングで出て来てくれた。


「すみません!」


俺は声をかけて駆け寄った。


「どうしたのかな?」


立ちどまってくれたのは自分の親くらいの警察官だった。


「あの、ちょっと相談があって」


そう言い、スマホを取り出す。


口で説明するより も実際に見てもらった方が早い。


「この動画です」


そう言い、俺は山本さんが轢かれる動画を再生した。


警察官はしばらく険しい表情でそれを見ていたが、やがて頬を緩ませた。


「うまくできてるけど、これは偽物だな」