「八雲、思考がダダ漏れてるから」

ちょっと不安げな顔した寺川くんに顔を覗かれてハッとする。


「あらま、止めちゃったの?キャパオーバーした時の芽衣ちゃんは思考がダダ漏れだから、このまま聞きたいことまで聞いとけばよかったのに。」
ニヤリと笑うはるちゃん。


「は、はるちゃん?ねぇ、はるちゃん私の味方よね?なんで寺川くん寄りになってるの?!」

思わず突っ込むと


「だってその方が面白そうで、つい。」

えへっと言うはるちゃんは可愛いけど


「ちょ、はるちゃん!お願いだから友達を売らないでぇぇ!」


思わず叫ぶと


『ちょっと、何様?』
『王子放っておくとか、どんだけなのよ!』


廊下もなんだかヒートアップ気味になってきてて


もうホント逃げだしたい気持ちでいっぱいで、ため息をつくと


寺川くんが私から離れて廊下に向かって行った。


「あのさぁ、さっきから聞いてりゃ勝手にあーだこーだ言ってて正直ウザイ!やっと俺はアプローチしてるんだから邪魔すんな!」


そう啖呵切って言う寺川くんは少し怖い。
顔が整ってるだけに迫力がある。


『ご、ごめんなさい!』

『ほら、い、行こ!』


慌てるようにその場を離れていった女子軍団。


とりあえず人心地着けそうで安心した。