そうして、不本意ながらもお互いに自転車押しながら登校した事は寺川くんというその存在でもって瞬く間に広がりをみせ、お昼休みを迎える頃にはどこ行っても見られるという私には起きようはずがない珍事になっていた。


「はるちゃん、これすっごい面倒くさい。どーしたらいいの。」


そう頭を抱えていると


「うーん、王子のせいだからどうにもならないと思う。芽衣ちゃんや、静かにご飯食べれる所連れてってあげてもいいよ?」


「はるちゃん、女神!!!」


はるちゃんこと、峯遥乃ちゃんは同じくインドア派の仲良しの友達。
読書傾向や手芸の趣味が合うのでクラスも一緒になった今年はよく一緒にいる。


彼女は見た目ふわふわした感じの可愛らしい子で少し大人しい見た目をしてるが中身は毒舌女子である。

そのギャップが凄いのだが。
そんなはるちゃんにはそれを良く知る幼馴染の彼氏が居たりする。
実はリア充なはるちゃん。
でもはるちゃんの話は聞いてて微笑ましくて楽しい。

そんなはるちゃんのお助け発言に感激してうるうる見つめると


「ただし、アレをどうにかしないと行けないと思うけどね?」

ニコッと笑いながら言うはるちゃんの目線の先は教室の入口。


振り返りたくない、確認したくない!


見なくてもザワつく廊下で分かってしまう!!!


「え?はるちゃん、颯爽と私だけでも逃がしてはくれないの?」

今度は別の感情からうるうるしながら聞くと


「アレからは同類の匂いがするから無理かなぁ?」


そんな、殺生な!!!
ショックを受けているうちに背後に気配を感じた。