終業式で、私の誕生日。

今朝も寺川くんは迎えに来てくれた。


「おはよう!」

「おはよう、八雲。今日のランチはパスタにしないか?」

「いいね!パスタ好きだよ。」

そう笑顔で答えて自転車の後ろに乗った。


そうして昨日同様いろんな話をしながら学校に向かう。


「あ、昨日唐揚げだけは仕込んであるから、帰ったら揚げるね!買って帰るのは主食系とケーキと飲み物かなと思うけどどう?」

そう聞くと


「準備してくれたんだな、八雲の誕生日なのに。俺が準備出来なくてごめんな。でも嬉しいよ。」

そう言ってクシャっと髪を撫でてくれた。


その手がとても好きだと思う。

温かくて大きな手だ。


その大きな背中も、大きな手も、優しい笑顔も、楽しそうな笑い声も。
どれも私を安心させてくれる。
心地よさをくれる。


だから、私は今日頑張って伝えなきゃいけない。

そのためにランチのあとに時間を取るべく提案した。


「今日のランチのあとにちょっと個人行動しない?待ち合わせ場所と時間を決めて。」


提案すると察しのいい寺川くんは気付きたらしい。


「俺にプレゼントは要らないよ。俺は八雲と過ごせるだけでかなり嬉しいし、それが何よりのプレゼントだと思うよ。」

ニコッと言う寺川くんの表情に嘘はない。

だからこそ私も本音をぶつけることにした。



「私がどうしても寺川くんにプレゼントしたいの!だから時間を頂戴!」

そう素直に言うと


「分かった何買うかは見ないから店まで付いてっていいか?」

その問い掛けに


「買うものの見なければ良いよ。」と答えたのだった。