ー‥‥ピピピピピピッー‥ッガチャ。


愛用の青い目覚まし時計が今日も元気に音を鳴らす。中学の入学祝いに買ってもらってから、今日でもう4年目かぁ。


「結奈(ゆな)〜!制服!部屋のハンガーに見えるように掛けといたからそれに着替えて降りてらっしゃーい!」


下からお母さんの声がする。
2人寝れる大きなシングルベットの前に堂々と構えている制服は私に期待と不安を与える。


私は着替えると身支度をし、長い階段を降りてリビングへ行く。


「おはようお母さん。」


そう声をかけた後机の上に綺麗に並べてある朝食に手をつける。


「はいおはよう!今日私入学式行けないから代わりに優誠(ゆうせい)が行くからね」


「え、お母さんもお兄ちゃんも忙しいんだし来なくていいよ。1人で平気。」


「そういうわけにもいかないの!晴れ舞台はきちんとカメラにおさえとかないと!浩介(こうすけ)さんに見せないとダメなの!」


リビングの隣に、綺麗に掃除されている仏壇の上に満面の笑みで笑いかけてる写真。私のお父さん。


「お父さんが私を見たらなんていうかな?」


「そりゃ『可愛い結奈を何処の馬の骨かわからんやつにやらん!』とかいうでしょうね、うふふ。」


お父さんは世に言う過保護というやつで、去年の冬まで沢山の愛情を注いでもらった。心臓病だったらしい。最後は私達に囲まれてながら幸せそうに目を閉じていったのを今でも覚えている。


「今日も浩介さんは見守っているから元気に行ってらっしゃい。私もビデオに収めた晴れ舞台を、楽しみにしてるから!っあ、もうこんな時間!じゃあいってくるわね!優誠!よろしく頼むわよ!」