楪と京極

家は表社会と裏社会、どちらにも精通している。



表社会は美夜兄が社長。



裏社会は結兄が現在、当主代理をしている。

同時というべきが、通常は表の社長補佐…副社長を務めている。



そんな多忙なはずの結兄が今、何故か家に居る。



気にしないようにしていたが、考えればおかしなことだ。

そして考えたなら予想は大体ついた。



多分、伝言…

「月伽咲学園、今日から行ってもらうんだけど」



…それだけ?



いや結構大事だが、思ってたより軽い気が…

「昨日、家に帰る前とか誰かに名前呼びれなかった?」



「…え」

何故知ってる?



思わず振り向いた。



結兄は振り向いた私に一瞬驚いた様だったが、

すぐにアルカイックスマイルを見せて言った。



「当たり?」



「…あぁ」



前に向き直る。



淹れていたオレンジジュースを飲み干して、

置いていたウェットティッシュで手を拭いて。



そうこうしてる間に、結兄は私の髪を梳かし終えたらしい。



髪から手を離し、撫で始めた。



「はい、終わり」

3回ほど撫でてから離れる。



「制服はそこに置いてあるから、準備してね」