《母が書いている小説。
それを書くための文庫本より少し大きめのメモ帳に、母は『遺証《いしょう》』と名前をつけました。

そして、その日に起こった出来事を小説に替えて書いていたのです。


場所は、天気のいい日は屋上だったり、雨の日は図書室だったり、教室だったり。様々な場所で書いていたといいます。





高校生という実感が湧きつつある5月の半ばに、母は初めて父と会いました。》