「他人事だと思って……」
「あはは。
ごめんごめん」

咲来は笑っておどける。


「ハァ…」とため息をついた時にテーブルの端に置かれた文庫本より少し大きめのメモ帳が目に入った。




「そういえば、まだ書いてるの?それ」


琢磨が指差して尋ねると、咲来は笑いながら何でもないことのように答えた。




「書いてるよ。
これは、私が死ぬまで書くつもりだし、私の生きた証になる物だからね」
「っていっても、書いてるのは小説じゃないか」
「日記を物語として書いてるだけです。
……でも、これがなかったら私達はきっと、こういう風に話す間柄にもなってなかっただろうね」
「………そうだね」