今度は声のボリュームを落として尋ねる。 「佐波君は、どの部分が1番好き?」 「俺は主人公が自殺を決意するところで、兄がさりげなく出てくるところかな?慌てて止めに来るんじゃなくて『バカだな』って自然に来たところが好きだな」 「じゃあ、僕と一緒だ。僕もそこが好きなんだ」 にへらと咲来は笑った。 《その表情は、昨日の無機質な表情からは想像もつかない顔をしていたと父は言いました。》