篠突ク雨ニ謳フ

さっき餅屋のおっちゃんからもらった団子を食べながら歩いていると、目の前に目的地を発見。



「お、御劔の嬢ちゃん。今日はどうしたってんだい?」




「嬢ちゃんはやめろよ今男の格好なんだから…。俺は或都!あ、る、と!!」



ここは昔から御劔家が世話になっている刃物屋。



店主が何度名乗っても「御劔の嬢ちゃん」っていうのだけが玉に瑕だけど、父上曰く「一番いい刃物屋」らしい。




「今日は脇差買いに来た。あと女の時の護身用の刀」



「それならとっておきのいいやつを仕入れてあるぜ、ちょっと見てみるか?」



あと数日で京に発たなくてはいけないから、今のうちに刃物類は揃えておいたほうがいいだろう。



刀にはどれがいい悪いはないと思ってる。




俺に合うやつ、それが俺にとっての「一番いい刀」だから。



だから毎回、いうことがある。




「一番俺に合うやつ頼むわ」




これだけは忘れない。




「んなこたぁわかってるよ」



おっちゃんの言葉で安心するのもいつも通り。



あと数日でこれがもうなくなると思うと、それはそれで寂しいと感じた。