______時は文久3年、睦月。
兄である宗介が病に伏してからはや2週間が経つ。
まだ寝込むだけで済んでいるから良いものの、いつ症状が悪化するかわからないから油断は禁物だ。
てか、もう昼時だから雅(ミヤビ)がご飯持ってきてくれるはずなんだけど…
雅は同い年の女の子なんだけど、兄上の付き人の伊織(イオリ)の妹で、結構小さい頃からの付き合いなんだよねぇ。
そろそろ来るはずのお昼ご飯を心待ちにしていると、部屋の障子に影が映った。
「千代様、雅でございます」
「はいって〜」
「失礼いたします」
女の子らしい整った顔立ちの雅は、いつ見ても可愛い。
私なんて性格男だし顔も女の子っぽくないし羨ましいわー…
「千代様はお美しゅうございますからね」
そー言ってくれると嬉しいよ雅!
…って、え?
「今の全部声に出てた?」
「バッチリ聞かせてもらいました」
恥ずかしいけど思ってることだからいっかと思い1人で納得していると雅が口を開く。
「宗介様がお呼びです」
「兄上が?…わかった、ありがとう」
「お部屋までお付きいたします」
兄上のせいで待ち望んでいたご飯はお預けの模様。
今度兄上のお金で甘味を買ってもらおうと考えながら、私は雅と兄上の部屋まで行くことになった。

