篠突ク雨ニ謳フ

千代(チヨ)



俺は昔そんな名前だったような気がする



由緒ある剣道の家元「御劔家」に生まれた俺は、女ながら幼い頃から剣術を習い朝方から夕暮れまでを稽古に費やした。



「千代」には兄貴がいる。「千代」は正式な家継ぎではないから結構自由に生きてきた…というか、生きて来させてもらった気がする。




「千代」は剣術以外に一つだけ特技を持っていた。



横笛の演奏だ。



親戚の集まりでは髪を結わえ鮮やかな着物を着て演奏したこともあったっけ。



まあ今じゃ考えられないな。



まあそんなふうに自由気ままに過ごして着た「千代」だが、



ある日俺もとい「或都(アルト)」にならなくてはいけない日が来た。