「ごめん!待った?」
息を荒げながら、私は駅前の時計台の前まで走り立ち止まる。
「ちょっとだけ」
実里はいつもの笑顔で笑ってむかえ入れてくれる。
「行こっか」
私たちは二人で歩き出す。
季節はもうすぐ春。
夜はまだ肌寒い日もあるからマフラーは欠かせないけれど、昼間は暖かくて春の訪れを感じる。
私たちは4月から高校2年生になる。
駅前に植えてある梅の花の枝には蕾がつき始め、もうすぐ咲きそうだ。
「和紗、なんか変わったね」
全てが終わり、心のもやもやが晴れたからだろうか。
実里は私のこと、よく見てくれていたんだね。
大切な友達。
一生大事にしよう。
「1週間くらい学校を休んだ間に、何かあったの?」
あの日々のことは、なかったことにされようが忘れたくても忘れられない。
辛くて苦しくてたくさん泣いた。
でもあの日々があったから、私は前を向いて歩いていける。
「恋、しちゃったからかな!」
「え!誰だれ?教えてよ!」
「じゃあ…いつものカフェ行こう!」
私は実里の手を引いて、雲ひとつない青空の下を走り始めた。
END



