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「撃たれたとき、死んじゃったかと思って絶望した」

黒田の背中から血が溢れ出てくるのを見たとき、一生分泣いたと思う。
たった6日間、一緒にいただけの人なのに。
そのとき私の心の中で、黒田の存在が大きくなっていることに気づいてしまったの。

「そんな簡単に死んでたまるかよ」

「そうね。殺しても死ななそうだもんね」

「…喧嘩売ってるのか?」

私たちは顔を見合わせて笑う。

出会ってから初めて笑顔を見せた黒田。
彼の笑顔を見れる回数をこれから増やしていこう。
彼が笑ってくれたら、私も笑顔になれる。

私は彼のことをほとんど知らない。
これから一つずつ知っていこうと思う。

これから長い付き合いになりそうだもの。

「退院したらさ、美味しい珈琲の入れ方教えてよ」

「ああ」

あのとき窓ガラスの割れる音に遮られた言葉。
ちゃんと言えて良かった。

「じゃあ、私これから行くとこあるから帰るね」

「ああ」

私は荷物を持って立ちあがり、ドアの方へと歩いていく。

「あ、そういえば」

私は黒田のほうを振り返る。