トップシークレット

そして黒田は再び起き上がろうとするので、私は立ちあがり、黒田の腕を引っ張り起き上がらせる。

「重っ!」

「ひ弱だな」

「うるさい」

毎回お見舞いにきてはそんな口喧嘩をする。
こんな風に話せる日が来るなんて。
誘拐されたときは思わなかったよ。

「なに笑ってるんだよ」

「うん?幸せだなって」

私が黒田に笑いかけると、黒田は顔を歪めたまま何も言わず窓の方に顔を逸らす。

「ありがとう」

私はあの日以来、初めてその言葉を口にした。

「何だよ、いきなり」

「貴方に出会えて良かった」

黒田の横顔を見つめながら、私は笑う。

「礼を言われるようなことはしていない」

そんなこと言って、照れてるくせに。
耳真っ赤だし。