どのくらい経っただろう。
私はふと目を覚ました。
あれ…私、いつの間に寝てたんだろう。
重たい瞼を擦りながらベッドから身体を起こす。
時計を見ると夕方の4時。
お昼ご飯も食べずに、あのまま寝てしまっていたようだ。
部屋、出たくないな…
黒田とは気まずいし、顔を合わせづらいな。
部屋の扉をおそるおそる開くと、黒田はリビングに居なかった。
私は胸を撫で下ろす。
喉が渇いたな。
部屋を出て、裸足のままキッチンの冷蔵庫を開ける。
今は珈琲の気分じゃないし、お茶でいいや。
コップに注ぎ、お茶を飲みながらふと窓の方を見ると何やら黒い影が動いた。
カーテンがあって誰かはわからない。
黒田かな?
外で何をしてるんだろう。
そっと窓の方へ近づくと、私の足音に気づいたのか人影がさっと消える。
そんなに避けなくてもいいじゃない。
黒田の馬鹿。
黒田に避けられるのはかなり応える。
誘拐された私がいま、唯一関われる存在。
誰とも会話出来ないのは寂しい。
実里…。
私が唯一信頼していた大親友。
実里と遊んで、どうでもいい話で笑いあいたい。
今どうしてるのだろう。
ダメだ。
黒田に避けられて心が弱ってるみたい。
こんなことばかり考えてしまうよ。