「さようなら。」

すかさず俺は聞く。

「なぜ?何がいけなかったんだ?」

彼女はこれ以上ないほど冷たい声で言う。

「なぜかって?そんなの解っているはずだけど・・・。クスッ」

確かに今、彼女は笑った。
いや、そう聞こえた。
彼女の表情は、屍のように生気を失ったまま変わらない。

彼女の目は、ずっと俺に向いている。
でも、俺を見ていない。
俺の背後を見ているわけでもない。
明らかに何も見ていない。
俺は今までこんな目を見たことは無かった。

もちろん、問わずにはいられない。
俺は昔から、気になったことは納得が行くまで追求する、という頑固な性格をもっていた。

「お前は……なぜ、そんな目で俺を見る?
なぜ、こんな状況で……」

俺はこの時以降に、俺は自分自身を恨むようなことはないだろう。

「サヨウナラ。」

彼女の声でそう言われた。
しかし、彼女の口は動いていない。
俺の足りない頭で、0.6秒考えてみた。
そうか、彼女の声は背後から聞こえるんだ。
なるほど。



そんな刹那、頭に何か重いもので殴られたように強い衝撃が走る。
俺の視界は暗くなってーーーーーー