孤独な死神

徠が無表情で拳を振りかぶった
僕の鳩尾を狙っている。
目線がそこに向いてるし何より拳が鳩尾一直線。分かりやすすぎる。

でも、まぁ。

僕は食らって上げる事にした





鳩尾に意外と重い拳が入る。
なるほど、意外だなぁ。力無さそうなのに

力を抜いて受けたから体が後ろに吹っ飛ぶ。
そのまま窓に直撃。ちょっと痛い。


教室から「やっぱり」「あいつ馬鹿じゃね」という声が聞こえる。




うーん、それでも弱いなぁ
遅いし、何より踏み込みが甘い。これじゃ、すぐNo.2に抜かれる。




何事も無かったかのように立ち上がり埃を払う。あーあ、新品だったのに汚れちゃったじゃんか


「っ!!」


教室中から息をのむ音が聞こえた


やられたと思っていたやつが何も無かったかのように立ち上がったから。



「相手が先に手を出したよね。みんな見てたから証言もバッチリだね。だから僕が殴り返しても喧嘩じゃないよね。うんうん。










だってこれは正当防衛だから」





にっこりと笑みを深めた


手癖の悪いわんちゃんにはお仕置きしないとね


大丈夫。ちゃんと手加減するからさ







笑みを消して大きく一歩踏み込み、息を止めてそのまま鳩尾に一発。
衝撃に耐えた徠。まさか、これだけだと思ってないよね?
その勢いのまま体を大きく捻り肘鉄をかます

予想外の攻撃に気を抜いていた徠はそのまま後ろに吹っ飛んだ。



シンッと静まり返った教室。まさか副総長が弱そうな転校生にやられると思ってもいなかったんだろうね。





「あれ、気絶しちゃった?ごめんね、












でも正当防衛だからさ。許してね

って、聞こえてないか。」

そうつぶやいて笑った。でも、僕と一緒に笑う人はいなかった。
ありゃりゃ、スルーされちゃった。


誰も喋らない、動かない。


しばらくして、イケメン先生と総長さんが動いた。
あ、これ風雅に入れって勧誘されるパターンだ。
逃げよっと。

鞄を持って、窓の枠に足をかける。

それから大きく息を吸って














窓から飛び降りた



「先生ごめんねぇぇえええ!!初日から!!授業さぼるーー!!!

じゃーねーーーー!!!!」


大声でそう叫び、スタッと着地すると窓から顔を出している先生や他の生徒たちにバイバイと手を振りながら走り去った。


あはは、どーなるかなぁ







明日が楽しみだなぁ