「今日はどこか出かける予定はあるのか?」

「いえ…ありません。」

「では、少々、打ち合わせをしておこうか。」

「は、はいっ!」



そうだよね。
新婚旅行から帰って来たんだし、近いうちにお土産を持ってお食事会に行かなきゃだよね。



そんなわけで、朝食を済ませてから、早速、打ち合わせが始まった。



「まず、俺についての情報はどのくらいある?」

「え…っと、お名前が橘那月さんで、年齢が29歳。」

「……他には?」

「え?えっと……あ、絵がお好き…」

「他には……」

「あ…え…そ、そう!英語が堪能。」

私がそう言うと、那月さんは深い溜め息を吐き出した。



「考えてみれば、今までお互いのことを話す機会があまりなかった。
仕方のないことだな。」

「あの…那月さんは私のことをどのくらい、ご存知ですか?」

「まず、年齢は35歳、誕生日は…」

なぜ?なぜ、那月さん、私の誕生日を知ってるの?
しかも、身長や体重も言い当てた。



「ど、どうして、そんなことをご存知なんですか?」

「誕生日は婚姻届けに書いてあった。
身長や体重は、見れば見当が付く。」

さすがは那月さんだ。
私も婚姻届けは見たけど、そんなこと、すっかりスルーしてたよ。
身長だって高いってことはわかるけど、具体的に何センチかなんてわからないよ。