愛の物語






「鬼にはそれぞれ能力があって俺は人より何倍も何十倍も強力な力と、治癒力を持っている。」

「私にはお兄ちゃんほど強くはない治癒力があるの。でも自分にしか使えないからそんなに役には立てないけどね。」

「美愛、そんなことを言うな。」

お兄ちゃんに怒られて私は口を噤んだ。

私も守られるばかりじゃなくてみんなの役に立ちたいんだけど能力には限りがあるから仕方ないよね。

「龍兎くんのバカ!!」

ふと大声が聞こえて私とお兄ちゃんはびっくりした。

「龍兎くんのバカ!傷が治ると言っても人並みに痛いんでしょ!どうしてそんな平気そうな顔してるの!!痛いときは正直に痛いって言わないとみんなわかんないんだよ!大事な時に困るでしょ!」

優衣がそう言ったのを聞いてお兄ちゃんは珍しく大爆笑した。

「ははははははっ!!!今までそんな心配されたことなかった。やっぱり優衣は良い奴だな。」

お兄ちゃんはそう言いながらもずっとくくくっと笑っていた。

「笑い事じゃないよ!!」

優衣はとうとう泣き出してしまった。

「お兄ちゃん、女の子を泣かしちゃだめなんだよ!」

私もそう言いながら少し笑ってしまった。

やっぱり優衣は可愛いな。

私がそう思っているとお兄ちゃんが

「ああ、すまない。」

と言って優衣の方に歩き出した。

みんなお兄ちゃんの一部始終を見ているとお兄ちゃんは優衣を抱きしめた。

「ごめんな、優衣。心配してくれて有難うな。でも俺は昔から痛みに強くて大抵の痛みには耐えられるんだ。」

「だからって痛くても大丈夫って事じゃないんだからね。私から見たら龍兎くんも美愛も私達と何も変わらないんだから!」

優衣はお兄ちゃんを抱きしめ返した。

「あのさ、イチャイチャしてるところ悪いんだけど、龍兎ちゃんと服は着ようよ。」

ジョンくんの一言で私達はお兄ちゃんが上半身裸だったことに気がついた。

「龍兎破廉恥ですね。そのまま抱きつくなんて。」

祐輔くんがお兄ちゃんを茶化すように言った。

優衣はリンゴのように真っ赤な顔になり、お兄ちゃんから離れた。

「おお、優衣悪い。」

「ううん、大丈夫。」

優衣が真っ赤になったのと反対にお兄ちゃんは何ともなさそうに見えた。
だけど、私はお兄ちゃんの耳たぶがほんのり赤くなっているのを見逃さなかった。

お兄ちゃん、わかりにくいけど双子の私からしたらすごくわかりやすいんだよな。

あとで優衣ががっかりしないようにこっそり教えてあげよう。

「お兄ちゃんが期終わったところで、また真剣な話になった。

「俺たちは今まで銃弾を避ける訓練をしてきただろ?」

「うん、この数日で海虎のメンバー全員が避け切れるようになってきたね。」

「なんとか間に合ったか。実は凶蛇の襲撃が5日ほど早まって明日になったんだ。そこで美愛と優衣に俺たちの家で籠っていてもらう予定だったんだが、それができなくなった。だから明日は抗争が終わるまで絶対に総長室から出ないで欲しいんだ。
もちろんそのために俺たちも絶対上には敵を上げない。わかったな?」

「うん、わかった。うちのほうが安全だけど仕方ないよね。今から出て行っても絶対危ないし。」

私はさっき付けたピアスを触ってみんなに言った。

「なんとしてでも、私達を守って!だけど絶対に死んじゃダメだよ!私達を守るために死んでも悲しいだけだからね!」

「うん!」
「はい!」
「ああ!」
「もちろん!」
「は〜い!」

みんながそれぞれに返事をしてくれた。
影近くんだけ妙に間延びした返事だけど。

無事帰ってきてくれるならなんでもいっか。