私達はお兄ちゃんの部屋を出てみんながいる部屋に入った。
「お兄ちゃんにピアス開けてもらったんだけど、どうかな?」
私がそう言うとみんなが私の方を見た。
「おお、いいんじゃないか?」
みんなは口々にそう言ってくれた。
「あのね、トランプに入れてもらう前にみんなに話があるんだけどいい?」
お兄ちゃんが隣で頷いたのがわかった。
「優衣はもう知ってるんだけど、私とお兄ちゃんの正体についてなの。」
私はそこで一呼吸入れて、また話し始めた。
「もしこれを聞いて離れたくなったら遠慮しないで言って欲しい。そういうのには慣れてるから。
私とお兄ちゃんは実は人間じゃないの。とは言っても半分は人間なの。」
肩にお兄ちゃんの手が置かれた。
お兄ちゃんがそこで私に言った。
「そこからは俺に言わせてくれ。」
「わかった。」
私は他のみんなの顔を見るのが怖くて、お兄ちゃんが話し始めてもずっと俯いていた。
「信じられないかもしれないが、美愛が言った事は嘘じゃない。
まずこの族は俺が美愛を守るために作ったのは知ってるな?」
みんなから返事はなかったが頷いた気配がした。
「何から美愛を守るか。みんなはこれに疑問を抱いたと思う。
そもそも族にならなければ危険は少ないんじゃないかとな。だが、俺が美愛を守るというのは人間からじゃない。」
そこで誰かが息を飲んだ気がした。
「同胞である“鬼”からだ。俺たちは人間と鬼のハーフなんだ。証拠は後で見せる。だから今は黙っていてくれ。」
「鬼と言ってもこの世に鬼はあまり残っていない。俺たちはそう聞いている。
だが、1人だけ俺たちの脅威になる鬼がいるんだ。」
そこで私はお兄ちゃんの話に割って入った。
「その鬼は死んだはずの、母さんが殺したはずの私達の伯父なの。」
「また信じられないかもしれないが俺たちの母さんは江戸時代末期の鬼なんだ。
つまり母さんはここにタイムスリップしてきた。そして父親は有名なあの新選組の土方歳三なんだ。だが、父さんは土方歳三の生まれ変わりということになる。」
「ごめん、頭が追いつかない。」
そう言ったのは靖人くんだった。
そうだよね。いきなり非現実的な事がたくさん述べられてるんだもん。
「それでも全て事実だから理解してもらうしかない。この話を聞いて気持ち悪いと思った奴は出て行ってもらって構わない。俺と美愛はなにも言わない。」
私はぎゅっと目を瞑った。
それから数分経ったけど誰も出て行った気配がしない。
目を開けて、俯いていた顔を上げてみた。
「みんな...!」
涙がこみ上げてきた。
顔を上げた時、みんなは私とお兄ちゃんを見てうっすら微笑んでいた。
「気持ち悪いわけないでしょう。俺たちは色々あったがあなた方二人に感謝しているんですから。」
影近くんは私達二人の目をしっかり見ながらそう言ってくれた。

