嘘の恋人を解消してから、永人とここまで近くになることがいままでなかった。



「もう大丈夫だと思ったのに……」



嘘の恋人を解消すれば、勘違いしていた気持ちもなくなると思ってた。
でも、あんなに近くにいられては……。

嘘の恋人を解消した時点で、永人から離れるべきだったのかもしれない。
でも、元々4人で仲良くしていたのにあたしのワガママでというわけにも行かなくて今日までこのまま過ごしてきた。



「ねぇねぇ、あの二人って別れたんでしょ?」



用具の置いてる教室のドアに手をかけたとき、中からそんな声がきこえてくる。



「八神くん?」


「そうそう。なんかみんな認めてた風だったけどやっぱりあんな根暗そうな子八神くんに似合わないよ」


「ほんとだよね!別れてよかったー!」



中の声はどう聞いても、あたしをよく思ってない声で。
そんな声のいる中に入れるほど、あたしは強くなかった。