「日奈子の好きなやつなんて始業式のときから知ってるわ」


「え?」



予想してなかった言葉に、すぐそばにいる明日汰を見上げる。



「結構きついだろ、その気持ち」


「……っ」



こいつは、見てないようで本当に周りのことを見てやがる。



「お前の気持ちは俺が知っててやるから、辛いときは俺に言えよ」


「……明日汰」


「なんで?なんで気づいたの?」



気づかれないようにずっと行動してきたのに。
自分の想いは奥底にしまい込んで。
溢れてしまいそうなときは、踏ん張ってさらに蓋をして。



「ん、だってお前あいつのこと見てるときの目が全然違ぇんだもん。本人は鈍感だから大丈夫だよ」



ぽんっとあたしの頭を撫でる。



「……っ」


「え!?」



なぜだろう。
いままで誰にも言えない気持ちを知ってる人がいる。
それがあたしにとってはすごく心強いみたいで。

いつの間にか、頬を伝うものがあった。