「お前そういうこと言うなよ」



呆れたように明日汰を見る。



「だって、俺が知ってからの永人にしては珍しいから。女の子のためになにかする永人」


「別にたまたまだろ。たまたま昨日居合わせただけ」


「まぁ、いまはそうかもしれねぇけど……マンガとかじゃ一緒にいるうちにってのはよくあることだろ」



明日汰はどうしてもそっちの方向に向けていきたいのか、頑として譲らない。



「そうだよね……男と女が一緒にいれば……ね?」



明日汰の隣にいる日奈子までもがそんなことを言い出す始末。

でも、そんな日奈子の表情はどこか暗い気がする。
あたしと永人が付き合う未来を想像してしまったのだろうか。



「な、ないから!永人とどうこうとか!」



日奈子の暗い顔を見たくなくて、慌てて否定する。


「お前、それなかなか俺に失礼だぞ」


「あ……いや……えっと……」



言いたいことは分かってるのに、なんて言ったらいいかわからなくて言葉が詰まる。