「……わかった」



気がついたら、永人の提案に乗ってた。



「ん。じゃあ、まぁー嘘だけどさ。よろしくね、彼女さん」


「うん。よろしく、彼氏さん」



なんでだろう。
永人とは本当に普通に話せる。
こんなに男の子が苦手なのに、永人は本当に大丈夫。

明日汰も大丈夫だけど、永人のほうがもっと大丈夫な気がする。



「別にまぁ、何もしなくていいからさ。朝とか帰りは一緒でどう?」


「……うん」



男の子と登下校を共にするんて、いつ以来だろう。
男の子がまだ大丈夫だった小学生の頃かな。
あの時、好きな人と登下校一緒になったときは嬉しかったのを覚えてる。

いつかは取り戻したいとは思ってる。
〝好き〟って感情。



「じゃあ明日の朝、寮の前に迎えにいくから」


「え?迎え?」


「一緒に行くんだろ?」


「うん……」



男の子に迎えにきてもらうなんて、そんなことなかったかはなんとなくくすぐったい気がしてしまう。

ただの嘘の付き合いなのに。