「えい、と……」


「千花、大丈夫か?」



目を開けて映ったのは、永人の姿。



「う、うん……」


「お前さっさと失せろ!」



すごい剣幕で怒ってる永人に、木下くんはバタバタと図書室から出てく。



「ありがとう……」


「おまえ、なんでこんなとこに一人でいんだよ」


「日奈子のこと待ってて……」



不思議。
あんなに怖かったのに、今はもう普通に話せてる。



「お前さ、よくあんなふうに言い寄られるの?」


「ううん、はじめて」



いままでは、男の子のいない環境だったからこんなことなかった。



「フラッシュバックは?大丈夫?」


「しそうになったけど、なんとか堪えた……」


「怖かったよな」



あたしの頭をポンポンっと撫でてくれる。

永人はそれ以上、絶対に触れてくることはしない。
明日汰もだけど。
だから、二人を信用してるのかもしれない。

永人がここに来てくれてよかった。