「千花、好きだよ」



膝の上にあるあたしの手をぎゅっと握る。、



「……っ」



ずっと貰えないと思ってた言葉。
ずっと言われたかった言葉。



「俺と付き合えば千花がいつか苦しむと思った」


「苦しむ……？」


「千花のトラウマが小学生の頃に告白されたせいで、みんなに無視されたからだって日奈子に聞いた」


「……っ」



少しそれに触れただけで、あのころのことを思い出して苦しくなる。

でも、永人が隣にいるから。
あたしの手を握ってくれているから。
なんだか落ち着けた気がする。



「そのことを思い出させる要因は避けた方がいいと思った」


「……？」


永人とあたしが付き合うこととの関係性が分からなくて首を傾げる。



「あの時、告白したの俺だよ」


「あ……」



その瞬間、今の永人とあの時の男の子の顔が重なって見えた気がした。



「すぐに気がついた。千花だって」



どうしてあたしは忘れてたのだろうか。
あの時の男の子の顔も名前も。