「うん、いらない」



いつの間にか、永人は冷たい表情になったいた。
感情なんて読み取れない。



「そ……っか、いらない、か」



聞き間違いかと思った言葉は、2度言われたことによって現実へと引き戻される。



「そんな、だ「ほかの子のチョコに比べたらあたしのチョコなんて特別感ないよね」



何かを言おうとした永人の言葉を遮って早口で話す。

〝そんな〟のあとに続く言葉はわからない。
〝そんなチョコ〟だったのだろうか。

でも、あたしからのチョコを永人が欲しがってないのは事実だ。



「……っ、千花?」



あたしの顔を驚いた表情でみる永人。



「あ……」



永人の表情に初めて自分の瞳から涙が溢れてることに気がつく。



「俺……「ごめん、気にしないでいいから!」



泣くなんて、重いとか思われたくなくて。
永人の言葉を聞く余裕なんてなくて。

あたしはそのまま空き教室を飛び出した。