でも、覚えてる。
あの日のこともちゃんと。


『千花ちゃんのほしいものってなに?』


『ピアス!かわいいのがいいなぁ』



あの頃、もう大人だった瑠樺ちゃんがつけていたピアス。
それが大人になった証拠なんじゃないかって憧れていたんだ。

もちろんすぐにつけれるわけなんてないけど、欲しくてたまらなかった。



『千花ちゃん、これあげる』



告白された日だったな。
このピアスをくれたのは。

好きな人にもらえてとっても嬉しかった。
でもそんな思い出も、彼の顔も名前も思い出せない。
ピアスだけがあたしには残ってる。

輝いた思い出だったけど、そのあとは最悪な思い出になってしまったから。
その彼を思い出すことはないんだろうなって思う。



「あれ?千花?永人は?」



部屋のドアを開けるとなぜかあたしの部屋にいる、日奈子と明日汰。



「ちょ、なんであたしの部屋に!?」


「永人とくるんだと思ってたのにー!あいつ何やってんの!?」



もう!っと怒って、スマホを耳にあてる。