「似合ってないから外した方がいいんじゃない?」


「は……?」



そんなこと、永人に言われる筋合いがあるのだろうか。

誕生日について何も触れてくれない人に、ほかの人からもらったプレゼントについてなにか言われる筋合いがあるのだろうか。



「いや、前のピアスさ……「永人には関係ないじゃん」



気がついたら早口で永人の言葉を遮っていた。



「え?」


「今あたしがどんなピアスをしようと、前のピアスがどうだろうと。永人には何もいう権利はないから」



それだけ言うと、あたしは永人から逃れるように走り出す。


前のピアス。
どうしても捨てれなかったあのピアス。
忘れたいから耳に穴を開けたはずなのに、ピアスだけはつけたかった。

前のピアスだってずっと持ってる。
走りながら、ふと首から下げたチェーンに手を触れる。

ずっとつけていたピアスは、初恋の男の子からもらったもの。
あの、あたしに告白してきた男の子から。

記憶から消したはずなのにピアスだけは消せなかった。