「あ……」



永人が思ったよりも近くにいて、顔から湯気が出てしまいそうになる。



「ただ今のは仕返しかな」


「仕返し?」



永人に何かをした記憶がなくて、頭のなかが疑問符だらけになる。



「最近、明日汰といすぎ」


「え……?」



なに、それ……。
そんなことで仕返しって、嫉妬にしか聞こえないんだけど。



「千花がバスケならよかったのに」


「永人もしかして、それで機嫌悪かったの?」


「まぁな……」



永人が天井をみあげる。



「なにそれ、嫉妬みたい」



ふっと永人が笑う。



「行こうか、そのテーピングで試合には出れるはず」



あたしの言葉には答えてもらえず、なんだか空振りした気分。


「うん、ありがとう」



それでもなにを考えても仕方ないので、ベッドから立ち上がる。



「千花」


「え?」



腕をつかまれて、永人の方を向かされる。



「え、永人?」



すごい近いとこまで、もうすぐ唇が重なるんじゃないかってとこまで永人との顔は近づいてくる。