『いるわけないでしょ!いまは離れたよ!』


「ならいいけど……ほら、俺が千花に小学生の頃告ったのは言ったよな?」


『うん……それとどう関係あるのよ』



電話の向こうで日奈子が険しい顔をしてそうな声がきこえる。



「千花のトラウマって俺なわけじゃん?」


『はぁ……』


「俺と付き合ったら、小学校とか隠し通せねぇと思うし……いつか千花が知ってまたトラウマになったりするよりも俺と付き合わないほうが千花が幸せになれるから。これが一番いい方法なんだ」


「……」



一通り話終えると、黙って聞いていた日奈子がそのまま黙ったままだ。



「日奈子?」



沈黙に耐えられなくて、日奈子の名前を口にする。



『あんたバカ!?』


「へ?」



いきなり聞こえてきた怒声に変な声が漏れる。



『自分の気持ちはどうなるの!?好きなんだよね!?それを押し殺すなんて永人らしくないじゃん!千花のため?なにそれ、そんなのあの男の子が永人だって気づいたらその時考えればいいじゃん!バカじゃない!?』



息切れするほどの勢いで俺に訴えかけてる日奈子。