「しょうがないよ……でも、これからも友達でいてね」


「うん、こちらこそ」



涙をこらえて必死に笑顔を作る千花にきづいてた。

でも、今の俺の手は何をすることもできない。
振ってしまった以上、いま千花に優しくするのは違うと思うから。



「ごめんね、突然こんなこと言って」


「いや、嬉しかったよ。ありがとう」



嬉しかったのは、本心。
俺のことを今度こそ好きにさせるって思った。

悪あがきで嘘の彼女という位置において、ほかの男を牽制した。

そんな千花が俺のことを好きになってくれたのは、計算通りだったんだ。

俺の告白自体がトラウマになってるなんていう事実さてなければ、今頃千花は俺の腕の中だ。

運命ってのは時に残酷で。
あの時かなえられなかった恋がいまかなうっていうのに。
ただ、好きなだけじゃダメだってことを思い知らされる。



「じゃああたし戻るね。また学校で」



少し寂しそうに俺に手を振る。



「あぁ、残りの夏休み楽しんで」



俺がそう口にするとフッと微笑んで、俺に背を向けた。