2度目の初恋も、君とがいい

「永人!」



椅子にかけてあった上着に袖を通して、永人の背中を追った。

どうしても、このままバイバイじゃ嫌だから。
このまま二学期まで会えないのは嫌だったから。



「どうした?」



永人は明らかな作り笑いをあたしに向けている。

さっき、日奈子や明日汰にはちゃんといつもの永人の顔だったのに。



「なんか、永人がいつもと違うから気になって……」


「ん?普通だろ。俺」


「あたしに対してだけ違う……やっぱり面倒だって思っちゃったから……?」



あたしは永人に何かしたのだろうか。
永人はあたしに愛想をつかしたのだろうか。



「この前はイライラしてたから。あんなこと言ってごめんな」



少し寂しそうに笑って〝ちゃんと閉めなきゃ〟って、上着のファスナーを上まであげてくれる。

そんなファスナーに手をかける指すらなんだか色っぽく思えて、ドキドキが止まらなくなる。

聞こえてないだろうか。
でも、このまま。
このまま、永人に触れていたいなんて思ってしまう。

自覚するだけで、欲張りになってしまうんだ。



「……好き」



気づいたときにはそう口にしていた。