「なにやってんだ……俺」



千花から見えない位置まで歩いて、そのまま壁に寄りかかって座り込む。



「ヤキモチとかだせぇ……」



いままは、千花がだれか他の男と話すなんて明日汰くらいだったから。
だから、こんな感情知らなかった。



「千花のこと傷つけるだけの感情だろ……」



こんな感情抱くくらいなら、好きになるなんてしなければよかったんだ。
自分のこと好きになってくれるだれかのことしか好きにならなければいいんだ。

でも、俺が好きなのは千花だから。
千花がたとえ、さっきのあいつのことを好きだとしても。
俺が好きなのは千花なんだ。



「千花にどんな顔して会えばいんだよ……」



はぁっとため息をついて、髪の毛をかきあげる。



「あれ？永人？」



頭を抱えていると、頭上から自分の名前を呼ばれた。



「日奈子……」


「千花は？」


「……っ」



千花の名前が出てきて、どうしても言葉に詰まってしまう。