「瞳！？勝手に行こうとしないでよ」



慌てたようにあたしのあとを追ってくる。



「待てよ！！」



後ろから聞こえてくる足音とあわてたような声。

なんで、そんなに走ってくるの。
あたしなんかたった２週間弱一緒にいただけじゃない。



「え？あのイケメン？」



隣で菫が驚いた顔をしてる。



「いいよ、無視して」



今更だけど、話すのが怖くてそのまま歩こうとする。



「無視すんなよ」



ぐいっと引っ張られて気づけば目の前に更科くん。



「……っ」



久しぶりに近くに更科くんを感じてドキドキと止まらなくなる心臓。

やっぱり好きなんだと痛感する。



「こいつ借りてっていい？」



菫の方をみる。



「どーぞ！どーぞ」



と言いながら、あたしには〝あとで詳しく聞かせなさい〟というような目でみる。


なんで、あたしいまこの人に腕捕まれてるんだろう。
こんなことされたら期待しちゃうのに。

どうしても、好きなんだから。
一喜一憂しちゃうんだから。