失恋覚悟のマイヒーロー

「どっか行こうかなぁ……」



なんて思っても、カバンもスマホも置いてきてしまった。

今日はせっかくの休日だし、あわよくばどこか行けないかなぁなんて思ってたのに。



「うまくいかないなぁー……」



合宿がおわってしまえばあたしと彼は赤の他人だ。
ここで一緒の部屋で過ごしたことなんて、更科くんの中ではひとつの出来事にしか過ぎない。



「せっかく見知らぬ土地にきたのに」



あたしが今回合宿免許にきたのは北海道の釧路。
実際住んでいるところは東京だから、休みの日は釧路で観光しようかななんて思っていた。



「まぁ、卒業したら更科くんとはもう物理的に会うことないもんね」



彼は釧路に住んでて、本当は合宿なんて必要ない。
だから、この合宿が終わったら本当に離ればなれ。



「せめて、一緒にどこか行きたかった」



あたしだけでいい。
思い出にしたかった。

更科くんにとっては地元だし、なんの意味もないのかもしれないけど。