失恋覚悟のマイヒーロー

「何固まってんだよ、誠吾」


「誠也お待たせ!……って、誠吾もいたんだ」



いつもよりオシャレして出てきたのは、東野さん。



「この人東野さんの……」


「ん?君は誠吾の彼女?」


「……違います」



更科くんよりも背が高くて
更科くんよりも東野さんに年が近くて
更科くんよりも東野さんと関係が近い。


この人は、更科くんにとってのトラウマだ。



「そうか。誠吾、お前も一緒に行くか?」



普通に爽やかに笑って、更科くんに語りかける。



「行かねーよ。俺はこいつといる」



あたしの手を取って、再び部屋に向かって歩き出す。



「更科くん……」


「ごめん、ちょっといま余裕ないから部屋まで黙ってて」



傷ついてる。
あたしの好きな人が傷ついてる。



「……はぁーーーー」



部屋につくなり大きなため息をついて、壁にもたれかかる更科くん。



「……大丈夫?」



なんて声をかければいいかなんてわからなくて
そんなありきたりの言葉しか浮かんでこない。