失恋覚悟のマイヒーロー

「遅い気がして見に来てみたら……大丈夫?」



心配そうにあたしの顔をのぞき込む。



「うん。ありがとう……」


「あいつ、ずっとお前のこと見てたんだよ」



ちらっと後ろに目をやる。



「え?」


「お前さ、可愛いんだから気をつけろよ」


「……っ」



〝可愛い〟なんて思ってくれたって
〝好き〟とは思ってくれないくせに。



「どした?」


「可愛いなんて、好きな子にだけ言った方がいいよ」


「は?好きなやつが可愛いことなんて知ってるつーの」



悔しそうな顔をみせる。



「……ごめん」



そうだ、この人はいまショックを受けてる。
なのに、あたしのことを助けに来てくれたんだ。



「紫が結婚すんのさ……「いた、探したよ。誠吾」



更科くんの言葉を遮ってきこえてきた、男の人の声。



「……っ」



見上げて、その人の顔を確認すると酷く傷ついた顔をしてる。


この人、更科くんの何……?