颯斗が亡くなってから二日。






















この日は葬式が行われていた。





















黒い喪服を着て、経を唱えるお坊さんの背中を見つめながら私はボーっとしていた。

























まだ颯人が亡くなったという事実が受け入れられなかった。


























霊柩車で火葬場に運ばれる颯斗を見送った後、みんなで食事をした。






























大人はお酒を飲んで、高校生の私たちはジュースを飲んだりしていた。



























でも、私は何も喉を通る気がしなくて、一人で庭のベンチに座っていた。
























どうして、みんな笑っていられるの?

























どうしてみんな、食事が出来るの?
























悲しくないの?






















みんなへの怒りが静かにわき始めていたその時。
























「優杏ちゃん。大丈夫?」























突然声をかけられて振り向くと、喪服を着た春馬が立っていた。

























「はる、ま……」



























「どうしたんだよ。一人でこんな所に座って」

























春馬はそう言いながら、私の隣に腰かけた。




















「どうして、みんな笑っているの?」


























私はさっき思ったことを春馬に言った。






























「颯斗は死んだのに、どうしてみんな笑っているの!?悲しくないの!?」


























これだけ大勢の人がいて誰も泣いていないなんておかしいよ。






























春馬にぶつけても無駄だって分かっているけど、そうでもしないと心が壊れそうだった。






















破れそうだった。








































「心から笑っている奴なんて一人もいないよ」