「雅…」
何なのよ
何の前触れもなく私の中にズカズカと
バカじゃないの。
もう彼はいないのに。
「那珠ちゃん…」
「な…に?」
霧矢さんが気まずそうに話しかける。
気づいたら電話を終えた荒木さんも、みんなが私を見ていた。
「雅…?さんて誰かな」
…また無意識に口に出してたかしら?
「いやっほおおおおお!!!」
ーーーバンッ!!!!
途端、この部屋のドアが勢いよく開いた。
なな、何事っ!?
「あ〜っ、腰イターイ!今日あいてる女の子マリちゃんだけかな?」
すると、入ってきたのは毒々しい紫色の髪をした男だった。
ピアスはジャラジャラついてるし、制服は第2ボタンまで開けている。
THEチャラ男って感じかしら。
「あーもう、琉斗こいつ完全に場の空気壊しやがってー…」
そう言って男の頭をグリグリする楪さん。
