「あー、那珠!今日は社長が疲れてるだろうから帰ってしっかり体をやすめろー!だとよ」



「そのつもりだったわよ」



私は二ヒヒと澪に笑って見せた。



「それと、転入手続きしておいたからな。」



「うん。ありがと、澪。」



私は今日でこの街を出ていく。


出ていくとしても隣の隣の街だけどね。


澪がいつも事務所からお前迎えにいくのが遠すぎてめんどいから引っ越せ、だと。


引っ越す理由にもならないわよ、全く。


でもまあ、この街には別に思い入れなんてないし、友達もいなければ私に向けられる愛情も、





ーーーーーー…ない。



お母さん、お父さん、お兄ちゃん…




あなた達の大好きなこの街からーー…



私はでていきます。







さよならーーー…



車に乗って、ただただ通り過ぎていくネオンの光に目を細めていた。