いつも通りスーパーに寄ってから、走って家に帰る。


遅くなっちゃったし、ささっと作れるものにしようっと。



玄関ドアを開けると、スニーカーや革靴が混ざり合っていた。


それらを整列させてから、後ろ向きになってローファーを脱いだ。



制服のままエプロンをして、料理スタート。



鍋で水を沸かし、粉末のだしをぱらぱらと入れる。


最初の頃はかつお節や煮干しでだしを取っていたけど、粉末に変えても全然気づかれなかったから、今はこうしている。



味噌汁を作り終えた頃、炊飯器がぷしゅーっと蒸気を出し始めた。


お米のやわらかな香りが漂う中、わたしは携帯をタップした。



……なおくん、まだ帰ってこない。


炊きたてを食べてもらいたいのに。メッセージはまだない。



うーん。おかずも作っちゃって大丈夫かな。



カット野菜を安売りの豚肉と炒める。


もやしとキャベツがしなーっと力を失っていく。肉の色彩も失われていく。



火を消すと同時に、

ガチャ、と鍵が回される音が鳴った。