タイムリミットは21時。残り2時間。
外からの部活の声や、他クラスからのかすかな笑い声をBGMに、
ミシマと2人でチョークと黒板がこすれ合う音を響かせる。
『ジュラシック・タコヤキワールド』だの『タコムリン2 蛸・焼・誕・生』だの『未知との遭遇~たこ焼き星人編~』だの。
ゲラゲラ笑いながらアイデアを出した結果。
なぜか『ジョーズ』風にすることになった。
海から現れる巨大サメ……じゃなくて巨大タコ。食べられそうになる海水浴客。って、元ネタ知ってる人いるのか?
メインのタコはわたしが担当し、ミシマは海や水しぶきを描く。
こうなったらめちゃくちゃリアルに描いてやる。タコに鋭いキバつけてサメ並みの迫力出してやる。
チョークを強く引っかいたり、寝かせて色をつけたり、指や黒板消しで質感を出したり。
まっさらだった黒板に、想像していたものが次第に浮き上がってくる。
タコのまわりには飛沫や泡をまとった海。そして、この後襲われてしまうだろう海水浴客。
ミシマの描く背景によって、映画並みのリアルさが生み出されていく。
時々、黒板から離れて全体のバランスを確かめる。
絵の全体像ができた頃。
遠くから見ようと足を後ろへ引くと、ミシマも同じタイミングで後ろに下がった。
「ホラー感出てきたね」
「マジで食われそう」
横目でアイコンタクトを取る。
目が合った瞬間、自然と自分の口角があがっていた。

