2人でしゃがんで、筆を動かしていると懐かしい気持ちになった。
わたしとミシマは、元美術部。
なおくんとの同棲スタートと同時に、わたしはみんなより早く引退しちゃったけど。
前はこうやって夜遅くまで、ミシマと2人で絵、描いていたな。
「…………」
お互い集中すると会話をしなくなるタイプ。
もくもくと作業をしているとすぐに色塗りが終わった。
「意外とすぐできたね!」
「2人だとやっぱ早いわ。ありがと」
ベニヤ板に描かれたのは、無限に広がる宇宙と、ライトセイバーっぽく光るたこ焼きを持ったタコ。
そして、スターウォーズ風にレタリングした『TAKO WARS』という店名。
わたしの下描きにミシマが彩りと奥行きを与えてくれた。
うん、いい感じ!
なんだけど……物足りない。
久々にもっと描きたい。発散したい。どかーんと大きなものを作りたい。
教室を見回してみる。
看板はできたし、飾りつけも終わっている。
――あ。
1つだけ手が付けられていない場所があった。
「あれは何もしないの?」
「そういえば。特に考えてなかった」
祭のムードが漂う教室で、何も書かれていない黒板だけがやけに寂しい。
吸い込まれるように足が向かった。
黒板が大きなキャンバスに見えてくる。わくわくした気持ちが込み上げてくる。
「ね、ミシマ。久々にやんない?」
新品チョークの箱を片手に振り返ると、
「いいね」
と言って、ミシマもいたずらそうな目で笑った。

