しばらく会話が途切れたままだったけど。



「俺、平日休み取れるかも」



華やかなエンタメニュースをBGMに、なおくんの低いつぶやき声が響いた。



「え……?」



ふわぁっと心が嬉しい気持ちで満たされていく。


危なくお椀を落としそうになるほど。



「この前休日出社あったから、振替で」


「本当ー? 実は、わたしの誕生日、文化祭の代休の日なんだ」


「じゃあそこで休めるよう調整する」


「やった! 楽しみ!」



大声で喜ぶわたしを見て、なおくんも笑顔を返してくれた。



なおくんは休みの日も仕事だったり、だらだら寝ていたり。


もっとデートしたいのに、最近はちょっとした買い物くらいしか行けていなかった。



今日はいってらっしゃいのキスもしてくれた。


お仕事頑張ってね、と伝えると、左手を上げて応えてくれた。



わたしもバイバイと手を振る。左の薬指にはめている指輪がキラリと光る。



胸をドキドキさせながら、わたしも学校へ向かった。