「覚えてる?亜実が引っ越しちゃってさ、わたしあまりにも落ち込んでる響見てられなくて、亜実の分も響と仲良くなって」
「……」
「そしたら私面白くて優しい響の事だんだん好きになってきちゃって、私から告白して響オッケーくれたよね?」
「よくそんな昔の話俺の前で話せるな。
思い出したくもねぇよ…」
「うん…そうだよね。
告白したの私なのに響の事拒んだのもわたし
本当に申し訳ない事したって今でも考えるの。」
月明かりに照らされて煌めく海を見つめながら話す田中の目が少し潤んで見える。
「今更遅せぇよ」
「ごめん。今更なのはわかってる、でもあの時のわたしは響の彼女ってだけでいじめられないかって、響逃げることばかり考えてた臆病者だったの。
言い訳だって怒られちゃうかもしれないけど本当なんだ。
バカでクズな元カノでごめんなさい。」
それだけ言い切ると両手で顔を覆ってすすり泣き始めた。
どうせそんな事だろうって思ってた。
いじめられっ子の周りにいれば次は自分に降りかかってくる…
そんな決まり誰が決めたんだって本当に呆れ返る。
いじめられっ子はいつだって1人。

