圭が私の胸ぐらを手加減なしで掴むから服にシワができる。
でもすぐに流が圭の手を掴んで、私から圭の手を離した。
「おい圭、いくらお前でもムギに手を出すことだけは許さねーぞ」
「...悪い総長、頭に血が上った」
流の言うことをあっさりと聞く圭が1歩後ろに下がる。
絶対人の言うことを聞かないはずの圭が
流の言葉一つで顔色を変えてあっさりと従うから
正直ガッカリした。
こんな圭...見たくなかった。
私は目線を圭から流に移した。
「流のこと...好きになりかけてたよ」
「...なればいいじゃねーか、俺はお前が好きだ」
「...この状況を見て好きになれなんて無理があるよ。
だからもう私に関わらないで」
あっさりと別れを告げて、倉庫から出ようとした。
でも私ってばほんとバカ。
敵に背中を見せることが
どれだけ危険か、何回体験すれば気が済むのよ。
「ムギ...悪いな、俺はお前を無理矢理でも離さない」
ーーートンっ!と首の後ろに走った小さな衝撃。
痛みがやって来る前に、世界が全部ぐわんぐわんって歪み始めて
そのまま...意識を手放した。