「悪かったな騙して。
でもな、お前を手に入れるためには仕方なかったんだ。
傷を負ってる奴に優しくするのが1番心に入りやすくて手っ取り早いだろ?」



「...っ!?なによそれ!!!!
あの夜、流と出会ったのは偶然なんかじゃなかったってこと!!??」



「まあそうだな。圭の家から飛び出すお前のあとを俺はつけてた。
話しかけたのだってわざとだ、お前のこと最初っから知ってて話しかけた、そして俺の家に誘導させた」


「...」



「2人で圭に喧嘩売りに行ったあの日覚えてるだろ?」



「...?」




「あの時驚いてた圭の反応は本物だ。
俺とムギが一緒に居るってこと、圭は元々知らなかったからな。
だが、さすが圭だ。俺の"演技"に気づいて、あの振る舞いだ。
...まああの後すぐに圭には教えたけどよ」




「なんでそこまでして...っ、」



「欲しかったんだよ、お前のこと」



「ーーーッ!!??」



「圭の隣を歩いてたお前を俺は見てた。
その時ビビっときたんだ、分かるか...?これは」




”運命”だ





そっと触れた唇、こんな時に流は私の心と体にスッと入ってきたんだ。




圭、それに夜季のメンバー、この場に居る全員が私達に注目し、流にキスされる私を見ていた。



でももちろん抵抗した
流の唇にガリッ!と歯を突き立てた。



色っぽいその唇から、ツゥー...と静かに血が流れる。





「精神的に弱ってるくせに、こんな時まで抵抗するとは、気の強い女だなムギ。
ますます惚れたぜ」



「うるさいバカ、もうあなたとなんか話たくない。
私帰る」



「どこに?」



「自分の家に決まってるでしょ!?
こんなめちゃくちゃな事されて、流と一緒に居れるわけないじゃん!!」