喧嘩の後に、私の家に向かう流は

さすがに汚れてしまった服で行くのは気が引けると言っていたが、今すぐにでも私の両親を説得させたいのか、圭が着ている服を貸してもらってた。


数時間前までは、夜季の総長であり、夭嵐とだって喧嘩していた。


それなのに。


今じゃあ、ただの一人の男。


会ったときから、自由気ままで掴めないこの男は、私の、私だけのために今動いている。



「しっかり掴まってろよ、ムギ」



夜の道路。
特別渋滞しているわけでもないが、焦る気持ちが募るばかりで、時の流れが早く感じる。



一刻も早く、知らせたい。


お父さんとお母さんに。
流は私のためだけに、ここまでやってくれたんだよって。


交際を認めてもらえないなら
それこそ流と愛の逃避行でも何でもしてやるんだから…。


でももし認めてくれたら
その時は、私ももう少し素直になるし
ちゃんと二人の言うことだって聞く。


ワガママな人生とはサヨナラだよ。